馬の種類と生育
人類と馬との関わりの歴史を紐解いていくと、最初はやはり人類は馬を使役に用いていたというところに行き着くのでしょう。人類が生存のために行う農耕という重労働に、馬の持つ力は十分に貢献したはずです。また自然条件などの制約によって農耕が困難な地域の人々は遊牧で生計を為していました。馬を放牧して、牧草地のあるところを移りながら生活する。恐らく人類と馬との最も原始的な関わりは、そんなところにあったのではないか、と思います。
やがて人類は集団を作り、集団が国家へと発展していくと、異なる集団、はたまた国家との間で戦争が起こってきます。馬は戦争にも使われました。人間は馬を乗りこなし、馬の持つスピード、機動力は人類の戦争の歴史にも大きな影響を与えました。
こうして人類と馬との関わりは農耕や遊牧を主とする使役と、戦争とに分けられると思います。実は人類が始めた競馬の発展も、この使役や軍事と表裏一体の関係にあります。つまり人類の経済発展には優秀な馬が欠かせず、この優秀な馬たちを生んで育てるきっかけとして競馬が発展してきたのです。
日本の戦前の写真を見れば、馬が戦地を歩く写真にでくわしたりします。戦前の日本のおける競馬は、娯楽や経済振興の目的は勿論、優秀な軍馬の生産もその目的でした。政府や軍は健康でスピードのある軍馬を必要としていました。少しでも優秀な馬を生むために、品種改良が重ねられていました。競馬の開催は、優秀な馬の生産を行ってその成果を披露し確認する場でもありました。軍馬だけではありません。北海度にはそり引きレース等一風変わったレースを行うことで有名なばんえい競馬がありますが、ここにはペルシュロンという種類の馬の血を引く競走馬が登場します。このペルシュロンは元々農耕馬として品種改良が重ねられて誕生した馬でした。また他の地方競馬でもアングロアラブ種の競走馬を見ることができます。これも元々は軍馬として改良が重ねられた馬でした。現在もこうした競走馬を見ることができるのは、当時日本政府や軍の政策によって馬が改良され、その成果発表としての競馬が行われていたことの名残だと言えます。
勿論現在の日本では軍馬や使役目的の馬の品種改良や生産は殆ど必要がなくなりました。現在競走馬として生産されている馬は、殆どが元から競走馬にすることが目的の馬です。
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これらの馬はサラブレッドと呼ばれますが、現在の競馬はこうしたサラブレッドの質を一定に保つ目的で行われているともいえます。勿論競走馬として育てられた馬の全てが競馬のレースに登場するわけではありません。馬は生き物である以上、競馬に適さない、能力的に劣った馬も生まれてきます。ですが競馬のレース、強いては競走馬の質を一定に保つためには、必要量より多めに産んで、その中から優秀なものを選抜して競走に出走させるという作業が必要になります。従って私たちが競馬のレースで目にする馬たちが、その時点で既に選び抜かれたエリートであり、その中からレースに勝つ馬などは、本当に希少で優秀な馬なのです。ちなみに私たちが食事のときに口にする肉牛などとは異なり、競走馬は自然交配主義で、人工授精や精子の保存といった人工的手段による繁殖は認められていません。従って競走馬の生育は以上にデリケートで難しく、いまや一大産業となった競馬の、そもそもの根幹を成す競走馬の質と量の維持には、関係者の並々ならぬ神経が注がれていることになります。>>>相互リンク集